試合当日!

アイの華麗なミドルキックが相手の腹に

もうね、本当に全然緊張しなかったんです。


普通に朝起きて、シャワーして、会場について、計量したら44キロ。減らしすぎた〜!
でもほら、女子的には相手より体重が軽いっていう時点で前哨戦は勝ちだから!
相手選手は思った以上に小さくて、後で聞いたら身長148cmだって。自分より小さい相手…。
先生にバンテージ巻いてもらって(プロ仕様の本格バンテージでご満悦♪)、
使用前のリングにのぼって感触を確かめた(これはよくプロ選手がやっていて、前から憧れてたの!)。
リングは思ったよりフカフカしていて、ものすごく広く感じた。
このリング全部使って試合することなんてないんじゃないかな。
すみっこのほうでちょっと打ち合って終わりそう。
数分後にはここで自分が試合するんだなあ、って思ってもまだ全然ピンとこなかった。
簡単な開会式の後、もうすぐに試合開始。
まずは男子の試合が10試合あって、そのあとが女子の試合。
おなジムの人の試合を応援してたら「応援よりもうすぐ自分の試合なんだから体休めとけ」って言われて、
えーでもまだ時間あるし、応援なんてそんな疲れないのに…とか思いつつ座って肩を揉んでもらってたら
もうすぐに二試合前に。
えー!とびっくりして、指示されるままに膝あてと脛あてをつけて
(膝あてが前の選手が使ったものの使いまわしでホカホカしててちょっと嫌だった。でも「まあ、あやかれるかな」っていう言葉が浮かんで、試合も見てない顔も知らない選手の何にあやかれるのか?!と今になって思う)、
ヘッドギアをつけて、グローブをつけて、それぞれ取れないようにテーピングでとめてもらった。
このときコバヤシ先生♂と何か話して(全然覚えてないや、やっぱりこのときにはもう緊張してたのかな・・・)、
カワサキさん♀が「気合だー!」って言ってビンタしてくれてちょっと笑って、
リングにあがったらもうレフェリーに呼ばれて試合開始。
始まってみると相手は思ったより圧力がなくて、体重差が無いってこんなにラクなんだ…と思う。
試合する前は90秒なんてすぐだって散々言われてたけど、実際はすごく長く感じて、まわりの声も全然聞こえてた。
ミドル蹴れ!と言われれば蹴ったし、押して蹴れ!と言われれば押して蹴ったし、前蹴り!と言われればティープ。
色んなところから声が聞こえて、ミドルも前蹴りも聞こえてるから、
ちょっと待ってて、今ミドル蹴って、次はティープ蹴るから、とか段取りまで考えてる自分がいた。
ああ、いっぱいの人が応援してくれてるなあ、
横でガードあげろ!って言ってるのは誰かなあ、確かにガードさがってるや、
相手のフックがうざいなあ、もうガードとかいいや(この変がもうすでにおかしい)、
打ち合っちゃえ、とか、頭の中でごちゃごちゃ考えてるうちに1R終了。
インターバルでマウスピースを取ってもらうやいなや、
セコンドに「相手のパンチが、全然痛くない!すっごい弱いよ!」と大声で報告。
喋らなくていいから呼吸整えて!とか言われてるのに、
もうあのときは「相手のパンチが思ったほど強くないことを伝えなくちゃ!」っていうのでいっぱいいっぱいで、
普通インターバル中の選手ってあんなに喋らないよね?っていうくらい話す。
マウスピースつけて!とか指示までとばして。
ファイターズハイっていうか、もう高揚しまくっててちょっと普通じゃなかったんやろうな〜。
ビデオとか見て、思い返すと恥ずかしい…。
さらにおなジムのプロ、左さんがリングサイドに来て大声で何かアドバイスをしてくれてるのに気付くけど、
左さんもプロ興行のメインだから準備とかあるのに悪いなあと思ったことしか覚えてないや。
2R目は、ティープよりミドルを多用していけと言われたけど、結局展開は1R目と同じ感じ。
姿勢を低くしてフックを打ちつつ頭から突っ込みながら前進してくる相手に対して、
ときには押され、ときにはフックをくらい、ときにはミドルやストレートを返しながら時間がすぎる。
あーもう早く終わらないかなー90秒長すぎーとか思いつつ、相手の突進がうざくて組んでみる。
うわー簡単に組めるなあ、このままヒザとか入れられたら格好いいけど、
さっきそれやって大二郎くんがイエローカードくらってたしなあ。
ああ、まわりがもっと蹴れって言ってるよ、ばててると思われてるのかな?全然ばててないのに!
などといらない心配などもし始める。
「相手嫌がってるよ!」という声が聞こえてちょっとむかつく。
どっちに嫌がってるって言ったのかな、自分かな、相手かな。アイは全然嫌がってないもん!
(あとでビデオ見たら、どうもアイ側の声援だったよう。むかつき損。)
ストレートを相手に入れながら、ああ距離があってないよ、こんな押すパンチじゃ相手も全然痛くないよ、
と自分でダメ出し。
相手はボクサーばりに近づいて頭をアイの胸にくっつけてくるんやけど、
うざいなあ、と思いつつ、こんな小さいんやなあ、とかそんなことばっかり頭の中をぐるぐる駆け巡っていました。
最後にコバヤシ先生が「顔を蹴れ!」って言うのが聞こえて、
え、それってハイキック?こ、こうかな?とか思いつつ、高めのキックを出す。
入った! 生まれて初めてのハイキックだあ!と思ったところで試合終了。
この時点ではしょっぱい勝ち方したなあ、と勝った気でいるアイボン。どこからその自信がきたのか…謎。
青コーナーに戻って、早くマウスピースをはずしたかったので、
もういいや自分で取っちゃえ、とグローブから手を抜く。
後でビデオで見て一番笑えたこのシーン。
テーピングで固定してたのに、グローブから普通にズボッと手を抜いて、
マウスピース取った後レフェリーに呼ばれて、また自分でズボッとグローブをはめるアイボン
おかしくない?それっておかしいよね?何のためにテーピングで固定してたの?取れたら意味ないよね?
わははははははー!


そして気になる結果は…ジャッジ三者とも20-20でドローでした。うわーん!!
まず最初に思ったのは「く、くやしい〜!!」という気持ちで、その後「でも負けなくてよかった」に変わり、
さらに「もっかいやったら勝てるよな・・・もっかいやらせろ!」に変わる。
多分相手も同じように感じてるんじゃないかな。


なにそれ、ドロー?!と思ったのもつかの間、あ、挨拶いかなきゃ挨拶!と気付いて相手のコーナーに向かう。
セコンドは渋谷のジムの人のセコンドにいっつもついてる恐そうな男の人で、
うわ、あの人だー!叱られる!とまた理解不能な考えが浮かんでビクビク挨拶。
「お疲れさま、よかったよ!」みたいなことを言ってくれたのでちょっとホッとして、差し出された水を飲む。
この水を飲むのが本当はアイは嫌で
(だって他人に水を飲まれるのとか、相手の人も嫌なんじゃないかなって思うし、知り合いだったら全然いいけど、今日初めて会った人と間接キッスでしょー?! サッカー選手も汗だくのユニフォームを交換するのとか、きっと嫌だと思う)、
でも実際に差し出されてみると、こんなもんかって感じで嫌だと思う間すらなかった。


試合後にあらためて話してみると相手の子はすごく小さくて細くて、
こんなちっちゃい子に勝てなかったんだなあ、とちょっと悲しくなりました。
いや、体重はあわせてるんやけど、感覚的にさあ…。


試合前に「相手は渋谷のジムの子で、応援もかなり多いらしいけど気にするな」と言われていて、
なんでえなんでえ、アイはヒール扱いかよ!ケンゾー・スズキかよ!とちょっとしょぼくれてたのですが、
実際はうちのジムの応援のほうが何倍も多くて、すごく嬉しかったです。
思った以上にまわりの応援って力になるんだなあ、ってそんなことがわかっただけでも試合にでたかいがあったです。
よくリングの上では1対1、自分と相手だけの戦いだとか言うけど、全然そんなことなかった。
今回はあんまりカーッとわけわかんなくなることはなくて、
すごくまわりの声がよく聞こえてたから余計そう思うのかも(実際に動けてたかどうかは別として)。
以上、興奮さめやらぬうちに書いた、アイのデビュー戦ホカホカレポートです!


読み返してみると、やっぱり緊張してたのかもな…でも緊張って感じでもなかったのよ〜!
そして今一番したいことは練習だよー!
はやくジムに行って練習したい!今よりもっとじょうずになってまた試合に出たいよー!